伝統的な、本来のテーラリングウェアは、それを構成するパーツの一つ一つを、職人の手作業により裁断されます。
現在では、ほとんど用いられなくなったこの手法は、手作業ゆえの緻密さ、その自由度から、ビスポークスーツを作製する際には、必ず用いられます。
現在の、一般的なセミオーダスーツは、機械により裁断されます。
機械による裁断は、補正の緻密さ、またはデザインの自由度については、その範囲が限られます。
スーツの襟の幅をリクエストする、また、ゴージラインを好みの高さに変更すること等は、手裁断にとっては容易な補正ですが、そうでない場合、その選択肢は限られます。
また、ポケットのフラップの大きさをリクエストできるセミオーダーブランドは稀ですが、手裁断においては、顧客のイメージに合わせ、その大きさは自由自在に変更されます。
Vゾーンの深さは、選ぶモデルによって決められる訳ではありません。顧客が持つイメージと、その体型により、最適な深さが決定されます。
また、髪型をリクエストする時に、理想の写真でイメージを伝えた経験を持つ顧客はいるはずです。本来のオーダーメイドでは、それが可能であるべきです。
とりわけスーツにおいては、一つ一つのパーツが緻密にリンクし、その立体的な仕上がりが形成される為、機械による裁断では、不可能な補正が出てきます。例えば、トレーニングにより隆起した胸を持つ顧客で、襟が開いてしまう場合、胸まわりを広げることが必要になります。しかし、ほとんど全てのセミオーダーブランドは、胸まわりを広げることが出来ません。
これは胸まわりが、隣接するアームホール、袖幅、肩幅に影響を与えてしまう為、全てをリンクさせて変更する必要があり、それが現状の機械では対応し切れない理由によるものです。嘘のような話ですが、これは現実です。
手裁断は、本来のメイド トゥ メジャーを可能にします。
それは手裁断による50箇所以上の補正となり、ビスポーク同様、顧客のあらゆる体型にアジャストし、その美観を完璧なものへと整えます。